子どものたし算の教え方:段階別ガイド
たし算は、4〜8歳ごろを目安に4つの段階で教えます。まず、2つの山の物を全部数えます。次に、大きいほうの数から数え足します。そのあと、10になる組み合わせを使って10をまたぎます。最後に、答えを覚えます。最初は物を使い、その段階が楽になったら次へ進みましょう。
テーブルにミニカーを3台置きます。少し離して、もう2台。「いま、ミニカーは何台かな?」と聞いて、子どもに2つの山をくっつけて数えてもらいましょう。この小さなやりとりが、もうたし算です。今日から始めるのにぴったりです。
この記事の段階は、4〜8歳、だいたい幼稚園の年中から小学2年生くらいまでが目安です。年齢はあくまでも目安です。1つの段階に1週間かかる子もいれば、数か月かかる子もいます。どちらでも大丈夫です。
たし算は、どんな順番で教えればいい?
この4つのたし算のやり方は、順に積み上がります。アメリカの学校の基準(Common Core)も同じ順番です。幼稚園では物を使ったたし算、1年生では数え足しと10を作ること、2年生の終わりまでに答えを覚えること。後のやり方ほど早くできます。でも、新しいやり方に自信がつくまでは、前のやり方を続けさせてあげましょう。
| 段階 | 5 + 3のときの様子 | 年齢の目安 | 次の段階に進んでよいサイン |
|---|---|---|---|
| 1. 全部数える | 5個を数え、3個を数え、全部の8個を1から数える | 4〜5歳 | 2つの山を、数え間違えずに数えられる |
| 2. 数え足す | 「5」と言って、6、7、8と数える | 5〜7歳 | 自分から、大きいほうの数で始める |
| 3. 10を作る(さくらんぼ計算) | まず10を作るように数を分ける。9 + 5 = 10 + 4のように | 6〜7歳 | 10になる組み合わせを、数えずに言える |
| 4. たし算の答えを覚える | 5 + 3 = 8を、すぐに言える | 6〜8歳 | 9 + 9までのほとんどの答えが、すぐに出てくる |
段階の名前を覚える必要はありません。お子さんのやり方をよく見て、いまのやり方が楽そうになったら、次のやり方を見せてあげましょう。
たし算の前に、まず何ができるといい?
たし算は、数えることの上に成り立ちます。たし算の前に、少ない数の物を、1つずつ触りながら数えられることが大切です。最後に言った数が全部の数だとわかっていることも必要です。まだ安定していなければ、数え方の教え方(3〜5歳)から始めて、数週間後にまた戻ってきてください。
もう2つ、助けになることがあります。1つは、少ない数をひと目で見分けることです。点が3つあれば、数えなくても3とわかるような力です。サイコロやドミノで育ちます。
もう1つは、合わせるときの言葉です。遊びの中で「と」「もっと」「合わせて」「全部で」を使います。「ブロックが2個あるね。ここに3個あるよ。合わせて何個?」
これらは、あとで「+」の記号が表す言葉です。
段階1:全部数える(4〜5歳)
この段階では、2つの山を作って、くっつけて、全部を1から数えます。3 + 2なら、ブロック3個、ブロック2個、そして全部で5個。「1、2、3、4、5」と数えます。
時間はかかりますが、たし算の本当の意味がわかります。2つの山を合わせると、1つの大きな山になる、ということです。幼稚園の基準もここから始まります。たし算を「物、指、頭の中のイメージ、絵」などの具体的な方法で表します(K.OA.A.1)。
使えるもの:
- 小さなおもちゃやおやつ。 ブドウ、ボタン、動物のおもちゃ。子どもが動かせる物なら何でもOKです。
- お皿2枚。 1枚ずつに山を置き、3枚目のお皿に両方をすべらせます。
- 指。 片手に3本、もう片方に2本。立っている指を全部数えます。
最初は合計を5までにして、そのあと10までにします。アメリカの基準では、幼稚園で、物や絵を使って10までのたし算をします。そして、その年の終わりまでに5までのたし算をすらすらできるようにします(K.OA.A.2とK.OA.A.5)。この年ごろのアイデアは、年長の算数ゲームも参考にしてください。
段階2:数え足す(5〜7歳)
数え足しとは、ひとつの数から始めて、先へ数えることです。5 + 3なら、子どもは「5」と言って、さらに3つ数えます。「6、7、8」。幼稚園の終わりごろから始める子もいます。アメリカの基準では1年生です。1年生では、数えることとたし算を結びつけます。たとえば、2を足すときは2つ先へ数えます(1.OA.C.5)。
そこへ進むには、最初の山をかくします。ボタン5個をコップの下に置いて、「ここに5個あるよ」と言います。それから、見えるボタンを3個足します。かくれた分は数えられません。だから自然に、5から始めることになります。
次のステップは、大きいほうの数から始めることです。2 + 7のとき、2から数え足すと、7回数えます。7から数え足すと、「8、9」の2回ですみます。どちらでも答えは9になることを伝えて、短いほうを子どもに選ばせましょう。
数直線を使うと、数え足しが目に見えます。1つ目の数のところに立って、足す数だけジャンプします。5 + 3は、3回ジャンプして8に着く、と子どもにもわかります。
下で試してみましょう。点をドラッグして、ジャンプの回数を選び、ジャンプ!をタップします。今のところ、たすボタンはオンのままにしておきます。
段階3:10を作ると、どう役に立つ?(6〜7歳)
数え足しは5 + 3ならうまくいきますが、9 + 5だと、5つ数えながら、いくつ数えたかを覚えておく必要があります。10を作るほうが早いです。9はあと1で10になるとわかっていれば、5を1と4に分けます。9 + 1 = 10、そして10 + 4 = 14です。
これは、10になる組み合わせ(7と3、6と4など)を知っていることが土台です。その組み合わせは、5になる小さな組み合わせから育ちます。まだ早く言えなければ、先にそちらに時間をかけましょう。数の合成・分解とさくらんぼの記事では、物とテンフレーム(10のわく)で組み合わせを教える方法がわかります。
テンフレームを使うと、よく見えます。1つ目のわくにおはじきを8個、2つ目に5個置きます。1つ目のわくがいっぱいになるように、2個を動かします。すると、10が1つと、あと3個です。だから8 + 5 = 13です。
1年生の基準では、20までのたし算の方法の1つとして、10を作ることが挙げられています(1.OA.C.6)。9か8から始めましょう。10にするのに、あと1か2ですむからです。
段階4:たし算の答えは、どうやって覚える?(6〜8歳)
答えを覚えるとは、考えなくても出てくる式を増やすことです。たとえば4 + 4 = 8。前の段階を飛ばすことが目的ではありません。段階をわかっている子は、忘れた答えも自分で作り直せます。
0 + 0から9 + 9までの式は100個あります。でも、100個を別々に覚える必要はありません。
- 入れかえても同じ。 3 + 8と8 + 3は同じ答えです。組を1回ずつ数えると、55個になります。
- 0を足す、1を足す。 答えは同じ数か、次の数なので、すぐに身につきます。100個のうち36個がこれです。
- 同じ数のたし算(ゾロ目)。 10 + 10までに10個しかありません。両手の指を合わせると、どれも目で見てわかります。
| 同じ数のたし算 | 1 + 1 | 2 + 2 | 3 + 3 | 4 + 4 | 5 + 5 | 6 + 6 | 7 + 7 | 8 + 8 | 9 + 9 | 10 + 10 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 答え | 2 | 4 | 6 | 8 | 10 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
同じ数のたし算がわかると、となりの数のたし算にも進めます。6 + 6 = 12を知っていれば、6 + 7は1つ多いので、13です。知っている式を使って知らない式の答えを見つけることを、導出事実(派生した答え)と呼びます。
6〜7歳の子ども44人を調べた研究で、Dowker (2014)は、「1つ多い」や足す順番の入れかえなどの導出事実の方法は、難しさが大きく違うことを見つけました。そのため、1つずつ紹介し、そのつど物で見せることをおすすめします。
アメリカの基準では、1年生で10までのたし算をすらすら、2年生の終わりまでに1けたどうしのたし算の答えをすべて覚えることを求めています(1.OA.C.6と2.OA.B.2)。
長い時間より、短い練習をこまめにすることをおすすめします。ほとんどの日に数分あれば十分です。夕食のときに数問、またはカードゲームを少し。まだ楽しいうちにやめましょう。子ども向けの算数ゲームには、たし算を使うものがいくつかあります。
物から、書く式へは、どう進める?
式を書くのは、物でたし算ができるようになってからです。その前ではありません。ゆっくり切りかえましょう。
- 物と言葉。 「ミニカーが3台と、あと2台で、5台」。
- 絵。 子どもが丸を3つと丸を2つ描いて、数えます。
- 絵の下に数。 丸の下に3と2を書き、全部の下に5を書きます。
- 式をまるごと。 ここで3 + 2 = 5と書き、「3と2で5」と読みます。
イコールの記号には注意が必要です。「次に答えがくる」という意味で読む子がいます。そのときは、「同じ大きさ」という意味だと教えてあげてください。
てんびん、またはブロックの同じ高さの2つの塔で見せましょう。片方は3 + 2、もう片方は5です。1年生の基準では、5 + 2 = 2 + 5のような式が合っているかどうかを判断します(1.OA.D.7)。
小さなお話にすると、記号に意味が出てきます。「Pipは木の実を4つ持っています。3つ見つけました。いま、Pipは何個持っていますか?」まずは、本物の物を使って、子どもに演じてもらいましょう。
お話を変えてみましょう。「合わせる」は2つの山をくっつけます。赤いリンゴ2個と青リンゴ5個で、リンゴは7個。「足りない部分」を探すのは、もっと難しくなります。Pipは木の実を4つ持っていて、いまは7つ。いくつ見つけたでしょう? アメリカの1年生の基準には、どちらのお話のタイプも入っています(1.OA.A.1)。足りない部分は、最初の2つが楽になってからにしましょう。
この段階で遊べるゲームなら、算数ボードゲームの記事で、サイコロと数のトラックを使って、数え足しをレースにする方法を紹介しています。
よくあるまちがいと、その直し方は?
- 最初の数を2回数える。 5 + 3で「5、6、7」と言って、答えが7になります。5をジャンプの1回に数えてしまったのです。数直線で、5の上に立ち、着いたときだけ数える、と見せましょう。
- いつも1から数える。 それでも答えは出るので、癖になります。最初の山をコップの下にかくして、数え足しへ誘いましょう。
- 小さいほうの数から始める。 2 + 9で、9回数えます。2つの山をならべて、どちらが大きく見えるか聞き、そちらから始めます。
- 数え足しの途中でわからなくなる。 いつ止まるのかがわかっていません。数えるたびに指を1本立てて、足す数と指の数が同じになったら止めましょう。
- 当てずっぽうで答える。 たいてい、一歩が大きすぎるサインです。数日、1つ前の段階に戻って、小さい数を使い、正解できた式で終わります。
まとめ
たし算は、全部数える、数え足す、10を作る、答えを覚える、の4つの段階で教えます。新しい段階では、いつも本物の物を使い、練習は短くします。いまのやり方が楽そうになったら先へ進み、当てずっぽうが出てきたら1つ戻りましょう。20までのたし算が安定したら、同じ考え方が、同じ数のまとまりを足していくかけ算の教え方にもつながります。
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保護者からよくある質問
5歳の子にたし算を教えるには、どうすればいいですか?
まず、動かせる本物の物を使います。ミニカーやブドウなどがおすすめです。小さな山を2つ作り、くっつけて、全部数えます。最初は合計を10より小さくしましょう。お話にして声に出します。「ミニカーが3台。もう2台。合わせて5台」。式を書くのは、これが楽になってからで大丈夫です。
指を使って数えてもいいですか?
はい。指は、いつでも持ち歩ける便利な10個のセットです。卒業したいのは、毎回1から数える癖のほうです。大きいほうの数を一度に指で出して、そこから数え足すやり方を見せてあげましょう。慣れてきたら、指を頭の中で思い浮かべるよう、声をかけてみてください。
たし算の「数え足し」とは何ですか?
数え足しとは、ひとつの数から始めて、足す数だけ先へ数えることです。5 + 3なら、「5、6、7、8」と数えて、答えは8です。2つの山を1から数えるより早くできます。大きいほうの数から始めると、数える回数が少なくてすみます。
たし算の答えは、いつごろ覚えればいいですか?
Common Coreでは、幼稚園(kindergarten)で5までのたし算をすらすら、1年生で10までのたし算をすらすらできるようにします。2年生の終わりまでに、1けたどうしのたし算の答えをすべて覚えます。年齢にすると、おおよそ5〜8歳です。期限ではなく、目安として考えてください。
子どもが答えを当てずっぽうで言うときは、どうしたらいいですか?
当てずっぽうは、たいてい一歩が大きすぎるサインです。数日だけ前の段階に戻りましょう。式ではなく物を使う、数を小さくする、などです。おはじきや指で答えを見せてもらいます。毎回、正解できた式で終わると、また遊びたくなります。
参考資料
- Common Core State Standards: Kindergarten, Operations and Algebraic Thinking
- Common Core State Standards: Grade 1, Operations and Algebraic Thinking
- Common Core State Standards: Grade 2, Operations and Algebraic Thinking
- Dowker (2014). Young children's use of derived fact strategies for addition and subtraction. Frontiers in Human Neuroscience. doi:10.3389/fnhum.2013.00924


